2020/01/18

展望台から見る聖書 第九回 福音書(マタイ~ヨハネ)


 新約聖書の最初の部分に収められている福音書は、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つです。そのうちマタイ、マルコ、ルカは宣教という共通の目的があるので共観福音書と言われています。以下にそれぞれの福音書の特徴を説明します。
 ①マタイ:使徒マタイがまとめた記録。預言により約束された救い主を強調しているため、ユダヤ人的福音と言われています。
 ②マルコ:使徒ペテロが語った説教をその助手マルコがまとめた記録。勝利者であるキリストを強調しているため、ローマ人的福音と言われています。
 ③ルカ:使徒パウロの助手ルカがまとめた記録。完全な人間としてのキリストを強調しているため、ギリシャ人的福音と言われています。
 ④ヨハネ:上記三福音書を踏まえ、使徒ヨハネが独自にまとめた記録。神の御子としてのキリストを強調しており、クリスチャンに対し福音の本質を説明しています。
 福音書はすべて、キリストの生涯を本筋として語っています。キリストは宣教の生涯に入る前、三十年間の準備期間を過ごされました(ルカ3:23)。キリストの宣教活動の期間は、ヨハネ伝に記された四回の過越の祭り(2:13、5:1、6:4、11:55)を根拠として約三年半であったと言われています。福音書の最後に、圧倒的な記述の分量がキリストの福音の根本である「十字架」と「復活」に割かれています。

参考図書:マイヤー・パールマン著『展望台から見る聖書』福音出版社