ラベル 聖書の植物 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 聖書の植物 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2022/09/25

聖書の植物~ケッパー

(写真:ケッパーのつぼみのピクルス)


 「その欲望は衰え、人が永遠の家に行こうと
するので、泣く人が、ちまたを歩きまわる。」
伝道12章5節

 ケッパー(フウチョウボク)は、地中海沿岸原産の低木です。つるを出して地をはうようにして育ち、イスラエルでは丘陵や石垣の間によく見られます(列王紀上4章33節)。春から夏にかけて華やかな花を咲かせますが、直前のつぼみの状態で酢漬けにしたピクルスとして食べられます。ケッパーは地中海料理に欠かせない食材です。
 聖書ではケッパーの語意である「欲望」として出てきます。人は必ず老年を迎え(伝道11章8節)、快楽に身を任せても欲望そのものが衰えて、「なんの楽しみもない」と言う日が来ます(伝道12章1節)。その前に、今の日に私たちは人の本分をわきまえるべきです(伝道12章13節)。

(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)

2022/09/18

聖書の植物~ニゲラ


 「黒種草は脱穀板で踏まれることなく…
黒種草は棒で、クミンは杖で打たれる。」
イザヤ28章27節

 ニゲラ(クロタネソウ)の名前はその黒い種に由来します。針金のような葉、花、袋状の実に詰まった種など、個性的な園芸植物であり、ドライフラワーとして飾ることもできます。キンポウゲ科の植物の多くは毒を持ちますが、西アジアに自生する「ニオイクロタネソウ」は毒がなく、種が香辛料として用いられます。

 植物には種別にふさわしい育て方があり(イザヤ28章25節)、収穫にもより効率的な方法があります。同じように、神は正しい計画をもってこの世界を導いておられることを聖書は教えています(イザヤ28章29節)。

(日本聖書協会『聖書 聖書協会共同訳』2018年版)

2022/09/11

聖書の植物~ニガヨモギ


 「どうか、わが悩みと苦しみ、にがよもぎと
胆汁とを心に留めてください。」
哀歌3章19節

 ニガヨモギは、ヨモギの近縁であるキク科の植物で、夏に小さな黄色の花を咲かせます。表面に白い毛があり、今日ではシルバーリーフの一種として育てられています。独特の苦みとにおいを持ち、古代には防虫剤の原料とされるほか、飲み物の苦み付けとしても用いられました。
 哀歌の歌い手は、自らなめた苦痛の味をニガヨモギにたとえました。その苦みを味わいながら、神のあわれみを味わうことを望み(哀歌3章21節)、その希望がますます新しく、大きく成長していきました(哀歌3章23節)。

(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)

2022/09/04

聖書の植物~トウゴマ


 「時に主なる神は、ヨナを暑さの苦痛から救うために、
とうごまを備えて、それを育て、
ヨナの頭の上に日陰を設けた。」ヨナ4章6節

 トウゴマは、東アフリカ原産の多年草です。ヒマ(蓖麻)とも言い、種(蓖麻子)から油(ひまし油)を採ることができ、灯油や潤滑油として利用されます。また毒性を持ち、下剤としても利用されてきました。
 数メートルの高さまで成長し、葉はヤツデのように互い違いに生えるため、葉の陰で涼をとるのに便利です。ヨナはトウゴマに掛け替えのない価値を見出しましたが、それによって神は人間に掛け替えのない価値を見出されていることを諭し教えられました(ヨナ4章10~11節)。

(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)

2022/08/28

聖書の植物~ヘンナ


 「わが愛する者は、わたしにとっては、
エンゲデのぶどう園にある
ヘンナ樹の花ぶさのようです。」
雅歌1章14節

 ヘンナ(ヘナ)は、北アフリカからインドにかけての丘陵地に育つミソハギ科の常緑低木で、春に白い花を咲かせます。古代より、葉から採れる赤い染料が化粧品として用いられてきました。現代でも同じようにマニキュアやヘアダイの原料として人気があります。
 雅歌は、恋人たちがお互いを称え合う歌です(雅歌1章4節)。死海のほとりのオアシスであるエンケデは、まさに人々に憩いを与え、最高級の産物をもたらしました。愛する者たちが共にいる所はどこでも、砂漠からオアシスに変わります(雅歌1章16節)。

(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)

2022/08/21

聖書の植物~ハッカ

(写真:ウマハッカ)

「はっか、いのんど、クミンなどの薬味の
十分の一を宮に納めておりながら、
律法の中でもっと重要な、公平と
あわれみと忠実とを見のがしている。」
マタイ23章23節

 ハッカ(ミント)は、アジア原産とする説がありますが、古代より世界各地で栽培され、様々な品種、雑種が存在します。イスラエルではウマハッカ(ホースミント)が水辺に自生しており、清涼感に富むため薬味等で利用されてきました。
 イスラエルではハッカのほか、コエンドロ、イノンド、クミン等、多種多様なハーブ、スパイスが食材として用いられました。聖書の教え(律法)に忠実な人々は、これらのものを事細かく管理して礼拝で捧げましたが、キリストは彼らが教えの神髄を見のがしていることを戒めました(ミカ6章8節)。

(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)

2022/08/14

聖書の植物~ピスタチオ

(写真:ピスタチオの実)

 「この地の名産を袋に入れ、それを贈り物として、
その方のところへ下って行きなさい。
…ピスタチオとアーモンド、」
創世記43章11節

 ピスタチオは、中央アジア原産の落葉樹で、独特な風味と緑の色味を持つ実(ナッツ)を実らせます。乾燥や塩害に強く、古代イスラエルではアーモンドと並んで名産品の一種でした。現代でも中東諸国で多く生産されています。
 族長ヤコブ(イスラエル)は愛する末息子ベニヤミンを失うことを恐れ、エジプトへの旅路に出すことを拒みました(創世記42章36~38節)。しかし、他の息子たちの説得を受け、ヤコブはエジプト行のため最善の準備を命じ、全能の神の加護を祈って彼らを送り出しました(創世記43章14節)。その結果、ヤコブは神の最善を目にすることができました(創世記46章30節)。

(新日本聖書刊行会『聖書 新改訳2017』2017年版)

2022/08/07

聖書の植物~スイカ


 「われわれは思い起すが、エジプトでは、
ただで、魚を食べた。きゅうりも、すいかも、
にらも、たまねぎも、そして、にんにくも。」
民数記11章5節

 スイカは、アフリカ原産のウリ科のつる植物で、古代エジプトの壁画に描かれ、ピラミッドから種が発掘されているように、古い歴史を持つ野菜です。乾燥地帯では貴重な水分源でもありました。当時のスイカは現代の日本で見られるような赤くて甘いものではなく、食材としては種が主とされていました。
 約束の地を目指して荒野を旅するイスラエル人たちは、エジプトでの生活を思い出して不平を言いました。このことによって彼らは神の約束を軽んじ、天からの恵みであるマナをけなしました(民数記11章6節)。神は彼らの態度に怒りを発し、彼らは自らのけなした神の約束も天からの恵みも失ってしまいました(民数記11章33節)。

(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)

2022/07/31

聖書の植物~アザミ


 「地はあなたのために、いばらと
あざみとを生じ、あなたは
野の草を食べるであろう。」
創世記3章18節

 アザミは、キク科アザミ属とその近縁の植物を指します。その多くは、トゲのあるギザギザの葉と針山のような花を持ち、草原や乾燥した土地に育ちます。草食動物も食べることなく、牧場を荒らす害草として駆除の対象となります。
 聖書の「あざみ」は荒れ地にはびこる雑草の総称であり、その中にイバラ、イラクサ等を含みます(イザヤ34章13節)。「あざみ」は神の祝福を失った「呪い」の象徴であり(創世記3章17節)、そこから人は労働の苦しさを味わい、神の祝福を求めて祈ることを始めました(創世記4章26節)。

(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)

2022/07/24

聖書の植物~ミルトス


 「ミルトスの木は、おどろに代って生える。
これは主の記念となり、また、とこしえの
しるしとなって、絶えることはない」
イザヤ55章13節

 ミルトス(マートル、ミルテ)は、地中海沿岸原産の常緑樹です。葉には芳香があり、初夏に白い花を咲かせます。干ばつにも強く、豊かに葉を茂らせることから、結婚式や開店祝いに用いられる「祝いの木」の別名があります。聖書では仮庵の祭で用いられています(ネヘミヤ8章15節)。
 聖書の神の救いは、結婚の祝いにたとえられます(マタイ22章1節)。救いを受け取るのに条件はなく(イザヤ55章1節)、祝いの記念品すら神によって備えられています。「主を尋ねよ。近くおられるうちに呼び求めよ。」(イザヤ55章6節)

(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)

2022/07/17

聖書の植物~コエンドロ


 「イスラエルの家はその物の名をマナと呼んだ。
それはコエンドロの実のようで白く、
その味は蜜を入れたせんべいのようであった。」
出エジプト16章31節

 コエンドロ(コリアンダー)は、小アジア原産の香辛野菜です。コショウ等の東方の香辛料が普及する以前、オリエント世界の代表的な香辛料はコエンドロでした。日本には平安時代に渡来していましたが、近年になって「パクチー」という名で、東南アジア料理の香辛料として普及しています。
 荒野を旅するイスラエル人が食べた「マナ」は、現在でも明確に特定できません。当時のイスラエル人にとって身近なコエンドロで例えられていますが、実際には彼らにも未知の食物でした(出エジプト16章15節)。そのように、神の賜る天の恵みは、人知を超えた幸いをもたらす神の知恵の賜物です(申命記8章16節)。

(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)

2022/07/10

聖書の植物~ヒソプ

(写真:マジョラム・シリアカ)

「ヒソプをもって、わたしを清めてください、
わたしは清くなるでしょう。」
詩篇51篇7節

 聖書の「ヒソプ」とは、中東原産のハーブである「マジョラム・シリアカ」を意味します。岩地に育つ低木で、夏に小さな白い花を咲かせます。独特の芳香があり、食事の風味づけに用いられるほか、過越の祭り(出エジプト12章22節)などの儀式で用いられるイスラエル人にとって重要な植物です。
 ヒソプは清めの儀式(レビ14章)に用いられることから、「罪からの清め」(詩篇51篇2節)、また罪赦された者の「悔いた心」(詩篇51篇17節)、「謙遜」の象徴として聖書で歌われています。

(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)

2022/07/03

聖書の植物~ユリ

(写真:マドンナリリー)

「わが愛する者はわたしのもの、わたしは彼のもの。
彼はゆりの花の中で、その群れを養っている。」
雅歌2章16節

 ユリは、地球の北半球に広く分布する植物であり、各地に様々な原種があります。球根を持ち、毎年夏ごろに花を咲かせます。イスラエルには「マドンナリリー」といわれる白ユリがありますが、山地に育ち、あまり身近では見られない希少な植物です。
 恋人たちの歌である雅歌では、お互いを高嶺の花であるユリにたとえて称えています(雅歌2章1~2節)。しかし、彼らの愛はこの世の貴重品ではたとえようもなく深く、強いものです(雅歌8章6~7節)。

(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)

2022/06/26

聖書の植物~スズカケノキ

「すずかけの木も、この若枝のようではなく、
神の園にあるどの木も、その美しさにはかなわない。」

(エゼキエル31章8節

 スズカケノキは、西アジア原産の高木です。イスラエルでは北部の水辺に生育しています(エゼキエル31章4節)。成長が早いため、日本でも街路樹として多く植えられています。
 中には30mにも達するスズカケノキは、聖書ではおごり高ぶりのたとえとして用いられています(エゼキエル31章10節)。優れた力を自慢するのではなく、その力を他者への奉仕のため用いることを聖書は勧めています(エゼキエル31章6節)。「人の高ぶりはその人を低くし、へりくだった人は誉れをつかむ。」(箴言29章23節)

(新日本聖書刊行会『聖書 新改訳2017』2017年版)

2022/06/19

聖書の植物~レタマ

 「彼はれだまの木の下に伏して眠ったが、
天の使が彼にさわり、『起きて食べなさい』

と言ったので…」(列王紀上19章5節)

 レタマ(学名Retama)は、地中海沿岸原産で、エニシダに近縁であるマメ科の低木です。同じ近縁種にレダマ(学名Spartium)がありますが、それとは別種です。エニシダは黄色の花を咲かせますが、レタマは白い花を咲かせます。レタマはイスラエルの荒野に生育する数少ない植物の一つで、焚き木として利用されることもありました(ヨブ30章4節)。
 預言者エリヤは命をねらわれたため、荒野に逃れました(列王紀上19章3節)。人目を避けてレタマの陰に身を隠したエリヤを、神は食事をもって力づけました。エリヤはそれに力を得て、神の山にたどり着きました(列王紀上19章8節)。

(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)

2022/06/12

聖書の植物~ナルド

(写真:ナルドの根の粉末)

 「その時、マリヤは高価で純粋な
ナルドの香油一斤を持ってきて、

イエスの足にぬり、自分の髪の毛でそれをふいた。
すると、香油のかおりが家にいっぱいになった。」
(ヨハネ12章3節)

 ナルドは、ヒマラヤ山脈原産のオミナエシ科の多年草です。特に根に多く香油成分を含んでおり、抽出した香油を石膏のつぼに入れて(マルコ14章3節)高級な香料として取り引きされました。イスラエル人は東方の外国から輸入して珍重しました(雅歌4章14節)。
 ラザロの姉妹マリヤは、キリストを慕う余りにナルドの価値を顧みず、キリストの足に注ぎ出しました。しかし、その行為の価値をマリヤ自身も知りませんでした。その香油は、やがて十字架で死なれるキリストの葬りのために用いられたのでした(ヨハネ12章7節)。

(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)

2022/06/05

聖書の植物~オリーブ


 「はとは夕方になって彼のもとに帰ってきた。
見ると、そのくちばしには、
オリブの若葉があった。」
(創世記8章11節)

 オリーブ(オリブ)は、地中海沿岸原産の常緑樹です。木材として利用されるほか、実が食用となり、オリーブ油の原料となるため、イスラエルを始めとする地中海世界の人々の生活を支える極めて重要な植物です(申命記8章8節)。日本でも観葉植物として、特徴的な長円形の葉を各地で見ることができます。
 オリーブは鳩とともに、聖書に平和の象徴として記されています。神の怒りの大洪水の後、鳩はオリーブの若枝に休みを得、人々は生活再建の希望をオリーブの若木に見ました(詩篇128篇3節)。
(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)

2022/05/29

聖書の植物~茨(いばら)

(写真:イヌバラ)

「そしてイエスに紫の衣を着せ、
いばらの冠を編んでかぶらせ、
『ユダヤ人の王、ばんざい』と言って
敬礼をしはじめた。」
(マルコ15章17~18節)

 聖書の茨(いばら)とは、イスラエルの土地に自生する各種のとげを持った植物を総称する言葉です。それらの植物にはノイバラ、キイチゴ、アザミ、ナツメ、ケッパーなどが挙げられます。茨は、人々から見捨てられた地(ヘブル6章8節)、荒廃した地(マルコ4章7節)を象徴する植物です。
 キリストは、人々の敵意の表れである「いばらの冠」をかぶらされて十字架につけられました(イザヤ53章3節)。しかし、キリストはそれを「栄光とほまれの冠」として受けられ(ヘブル2章9節)、私たちに平安といやしをもたらされました(イザヤ53章5節)。

(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)

2022/05/22

聖書の植物~ショウブ


 「あなたは金を出して、
わたしのために菖蒲を買わず、
…かえって、あなたの罪の
重荷を
わたしに負わせ…」
(イザヤ43章24節)

 ショウブ(におい菖蒲)は、日本を含む東アジアから南アジアにかけての温帯地域の水辺に自生する植物です。イスラエル人は、シナモン(出エジプト30章23節)と同様に東方から来た異国の商人から買い、礼拝用の香油の原料として用いました。
 礼拝の方法は律法によって定められていましたが、イスラエル人は正しく守りませんでした。一方、神は多くの犠牲を払ってイスラエル人を救い出しました(イザヤ43章25節)。「あなたはわが目に尊く、重んぜられるもの、わたしはあなたを愛する」(イザヤ43章4節)
(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)

2022/05/15

聖書の植物~シナモン

(写真:セイロンニッケイ)

「あなたは最上の香料を取りなさい。
…香り高いシナモンをその半分の
二百五十シェケル…」

(出エジプト30章23節)

 シナモンとは、スリランカ原産のセイロンニッケイ、または中国原産のシナニッケイ(カシア)の樹皮を乾燥させて生成した香辛料です。イスラエル人は東方の外国から輸入して、礼拝用の香油の原料として、また高級な香料(雅歌4章14節)として用いました。
 神を礼拝する聖所で用いられた聖具は、当時の世界で最高級の品々を用いて整えられたものでした(出エジプト40章9節)。このことから、神を礼拝する者は、聖なる神を迎えるにふさわしい態度をもって礼拝すべきであることが教えられます(出エジプト30章29節)。

(日本聖書協会『聖書 聖書協会共同訳』2018年版)