聖書において「名前」は、その名前がつけられたものの性質や本質を表現していることが多くあります。同様に、神の性質を示す神の呼び名が聖書に多く記されています。その実例をいくつか挙げてみましょう。
旧約聖書の原語であるヘブル語において、神は「エロヒム」(創世記1:1)と記されています。この言葉は「エル(神)」という言葉の複数形です。しかし、聖書の神は唯一の存在であり(申命記6:4)、エロヒムを聖書の神として記す場合は単数名詞として扱われます。イスラエル人の父祖アブラハムは「天地の主なるいと高き神(エル)、主に手をあげて、わたしは誓います」(創世記14:22)と宣言しました。
また旧約聖書では「主(ヤハウェ)」という言葉で神を呼んでいます。これは「わたしは、有って有る者」(出エジプト3:14)を意味する言葉です。新約聖書の原語であるギリシャ語でも同じ意味で「主(キュリオス)」が用いられています(マタイ4:7)。さらに旧約聖書では「主人(アドナイ、出エジプト23:17)」が用いられています。
新約聖書において、イエス・キリストが新しい神の呼び名を用いました。それは「アバ」という言葉であり、「父」を意味します(マルコ14:36)。
聖書は「神はわれわれひとりびとりから遠く離れておいでになるのではない」(使徒17:27)と教えています。皆様も聖書を学ぶことで神を知り、神を見いだし、さらに神に親しむことができますように。
参考資料:
日本聖書協会「聖書 口語訳」1955年版
マイヤー・パールマン「聖書の教理(上)」福音出版社(1981年)