贖い(あがない)とは、「ある物を代償として差し出して、他の物を手に入れること」を意味します。聖書においては「罪を償うこと」を意味し、贖罪(しょくざい)とも言われます。
旧約聖書においては、イスラエル人が罪の贖いのために動物をいけにえ(犠牲)として殺し、祭壇でそのいけにえを燃やし、神にささげました。アブラハムは息子のイサクの身代わりとして雄羊を全焼のいけにえ(燔祭)としてささげました(創世記22:13)。
また、アダムとエバが罪を犯したためエデンの園を追放された時、神は彼らに皮の着物を着せられました(創世記3:21)。つまり皮の着物を造るために動物が犠牲となって、人の裸が覆われたのでした。これらの出来事は、新約聖書のキリストの十字架による贖罪を予め示しています(使徒2:23、黙示録5:9)。
旧約聖書で示された贖罪の出来事を通して私たちは、a)神が贖罪の手段を制定されたこと(レビ4:26)、b)犠牲は心を込めてささげられるべきこと(詩篇50:14)、c)動物犠牲は贖罪の手段としては不完全であり、キリストにより完全な贖罪が全うされる(ヘブル10:3-7)ことを知ることができます。
参考資料:
日本聖書協会「聖書 口語訳」1955年版
マイヤー・パールマン「聖書の教理(下)」福音出版社(1982年)