使徒3章16節をお読みします。
イエスの名が、それを信じる信仰のゆえに、あなたがたのいま見て知っているこの人を、強くした…
この言葉は、イエス・キリストの弟子ペテロが語った言葉です。
ペテロは同じ弟子のヨハネとともにエルサレムの神殿に行きました。そこで足の不自由な男の人に出会いました。この男の人は、神殿を出入りする人々に施しを求めていました。ペテロたちにも同じように施しを求めました(使徒3章1~3節)。
この男の人に対するペテロの返事は期待外れな内容でした。「金銀はわたしには無い。しかし、わたしにあるものをあげよう。ナザレ人イエス・キリストの名によって歩きなさい」(使徒3章6節)。しかし、その後に起きた出来事は期待以上のことでした。それは、足の不自由な男の人が立ち上がり、歩き出したのです(使徒3章7~8節)。
周りの人々はこの出来事にひどく驚きました(使徒3章11節)。そして、このような奇跡を起こしたペテロとは、どれほどの大人物かと思ったことでしょう。しかし、ペテロは冒頭の言葉を語り、人々の期待から外れるような答えをしました。
ペテロはこの言葉でキリスト教の本質を語っています。それは、クリスチャンや教会がキリスト教の名のもとに様々な立派な働きをしたとしても、キリスト教の本質はキリストを信じる信仰にある、ということです。そして、すべての良い出来事の源はキリストにある、ということです。それゆえにクリスチャンや教会はキリストを語るのです。
クリスチャンは単なる人に過ぎません。しかし、クリスチャンは聖書を通してキリストの言葉を聞き、キリストの意志に従います。そして、キリストはクリスチャンを通して偉大な力を発揮されます。皆様もキリストを信じる信仰を通して、キリストの偉大な働きが現われ出るようになりますように、祝福をお祈りいたします。
ご一緒にお祈りいたしましょう。
天の父なる神様。ペテロは驚くべき奇跡の源としてキリストの名を語りました。私たちも良い物事の源であるキリストをよく知ることができますように。そして私たちの生涯を通してキリストの栄光が現われ出るようになりますように。
イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。
(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)