ヨブ28章28節をお読みします。
『見よ、主を恐れることは知恵である、悪を離れることは悟りである』
ウヅの人、ヨブは持てるものすべてを失うという苦難に遭い、自らの人生と苦難の意味に答えうる知恵を探求しました。
私たちが知恵を必要とする時、どうしたら良いでしょうか。学問を積むべきでしょうか。知恵ある人に助言を求めるべきでしょうか。人生の経験の中から知恵を見出だすべきでしょうか。
ヨブは、かつて莫大な財産を持ち、家族や友人にも恵まれ、善に親しみ悪を退けるような人格者でもありました。そのヨブがすべてを失った後、彼はかつて自分のものとしていたものが彼を救うことができない現実を悟りました。知恵は「すべての生き物の目に隠され」ていて、決して金銭や努力では獲得できないものであるとヨブは語ります(ヨブ28章21節)。
またヨブは自らの判断を放棄する、いわゆる「妄信」に陥りませんでした。ヨブは知恵を神の手の業の中に見いだしました。そして、神の業から知恵を学び取ろうとした結果、一つの結論に達しました。それは、「主を恐れることは知恵である」ということです(ヨブ28章28節)。
ヨブが見いだした知恵は、イエス・キリストの言葉では「真理」と言い換えることができます。それは、私たち人間の力によって獲得できるものではありません。知恵を持つ者から授けられるものであり、その言葉に従うことが必要です。キリストはこのように語っています。「真理は、あなたがたに自由を得させるであろう」(ヨハネ8章32節)。
お祈りいたしましょう。
天の父なる神様。ヨブが知恵を求めたように、私たちも人生を歩むために知恵を必要としています。どうか、人間の知恵に勝る、天からの知恵を私たちに与えてください(ヤコブ3章17節)。私たちが天の知恵を用いて、私たちの人生を見つめ直すことができますように。
イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。
(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)