2020/09/05

イスラエル人の動物観

 神は人間に先んじて、水の生き物、空の鳥、地の生き物を「種類にしたがって」創造されました(創世記1:20-25)。その後、神は人を創造され、「海の魚、空の鳥、地をはうすべての生き物を支配せよ」と命じられました(創世記1:28)。
 その後、神は人にそれらの多種多様な動物を名付けさせました(創世記2:19-20)。聖書、特に旧約聖書(ヘブル語)に記されている動物の生態の詳しさと種類の多さは、イスラエル人の観察力の高さを示しています。一方、魚類の名称がほとんど見られないのは、イスラエルに魚の棲める水場が少ないことが原因かもしれません。
 イスラエル人は「家畜」と「野の獣」をはっきりと区別していました(創世記1:24)。族長時代の人々は家畜を財産と見なし、家畜の多さが富を表しました(ヨブ1:3)。家畜に相当する動物の描写はかなり正確で詳しい一方、野の獣に相当する動物(例えばワシ、申命記32:11)については当時の人々の先入観に基づいていて、必ずしも動物の正確な生態を表している訳ではありません。
 一方、聖書は人間と動物の共通点も語っています(伝道3:18-21)。モーセの律法は動物に一定の権利を認めています(出23:12、レビ25:7)。神はノアと結んだ祝福の契約に動物も含めています(創世記9:9-17)。動物は日々の糧を神に祈り求め、神はその祈りに応えられます(ヨブ38:39-41)。時に、動物は神の使いとされて人を養い(第一列王記17:6)、人を正しい道へ導きます(民数記22:23-33)。聖書は動物を含む被造物の救済についても語っています(ローマ8:19-22)。
 律法において、人間の命を贖うために動物の命が犠牲とされました(出34:19-20)。しかし、犠牲とされる動物は「きよい動物」に限定され(創世記8:20)、「食べてよい生き物と食べてはならない生き物」を区別することが命じられました(レビ11章)。また異種交配は禁じられました(レビ19:19)。
 聖書は人間と動物が平和を保つべきことを語ります(ヨブ5:22-23)。動物も神の律法に服するものであり、神の契約により人と争うことがないようにされます(ホセア2:18)。私たち人類は、神の定められた区別に従い、共に神の恵みを分かち合うものとして動物に接していくべきです。 

参考資料:『旧約新約聖書大事典』(教文館、1989年)より、動物関係の項目