ヨハネ6章19節、20節をお読みします。
四、五十丁こぎ出したとき、イエスが海の上を歩いて舟に近づいてこられるのを見て、彼らは恐れた。すると、イエスは彼らに言われた、「わたしだ、恐れることはない」。
ヨハネ6章は、キリストが「パン五つと、さかな二ひき」によって五千人以上の人々のお腹を満たした「奇跡」を伝えています(ヨハネ6章1~14節)。その後、キリストは人々と別れて祈りのため山にこもり(マタイ14章23節)、弟子たちは湖(ガリラヤの海)を舟で渡って家路につきました。
ところが、湖が強い風のため急に荒れ出して、弟子たちの乗り込んだ舟が転覆しそうになりました。そのところに、キリストが湖の上を歩いて弟子たちの舟に近づいてくる「奇跡」が起きたのです。
このように、弟子たちはパンの「奇跡」の後に、湖の「奇跡」を見ました。そして、このことは、キリストが私たちに伝えようとされる同じ一つの「しるし」を意味しています(ヨハネ6章14節)。
キリストが伝えようとしたのは「わたしは命のパンである」(ヨハネ6章48節)ということです。先にはパンで空腹をいやし、後には水の難から救い出し、両方とも人に命を与えるお方であることをキリストは示されました。
キリストは、「子(キリスト)を見て信じる者が、ことごとく永遠の命を得る」と語られました(ヨハネ6章40節)。キリストの約束される「命」が、私たちの願いが叶えられるという望ましい状況の中だけではなく、私たちの願わない災難の中にも「命」が見いだされることを、皆様も知ることができますようにと願います。
お祈りいたしましょう。
天の父なる神様。多くの人々はお腹を満たすパンだけを求め、弟子たちはキリストの奇跡を見て恐れました。しかし、キリストは「命のパン」であると語られます。私たちは良い時にも悪い時にも、キリストが私たちに永遠の命を与えるお方であることを知ることができ、どんな状況にあっても恐れず、前進することができますように。
イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。
(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)