ヨブ23章10節をお読みします。
しかし彼(神)はわたしの歩む道を知っておられる。彼がわたしを試みられるとき、わたしは金のように出て来るであろう。
ヨブは聖書の神を畏れ敬う、正しい人でした(ヨブ1章1節)。しかし、ヨブは度重なる災難に遭い、財産を失い、家族を失い、健康をも失ってしまいました。ヨブの三人の友人は彼を慰めるために集まってきましたが、想像を超えるようなヨブの苦しみを見て、慰めの言葉を失ってしまいました(ヨブ2章13節)。
その後、口を開いたのはヨブでしたが、その言葉は自らの災難のゆえにつぶやいた、嘆きと呪いの言葉でした(ヨブ3章1節)。神を汚すような言葉は言いませんでしたが、ヨブの心には揺るぎない信仰や平安といったものは消え失せていました。しかし、それでもヨブが語った言葉は、神の救いへの希望が含まれていました。
長い長い問答の後、ヨブが幸いな結末に至ったことがヨブ記の最後に記されています(ヨブ42章)。そこに至るまで、ヨブの言葉には一見救いがないようにも思えます。しかし、神は彼の言葉を聞いていなかったのではなく、聞き続けておられたのです。
聖書の神は私たちが祈る祈りの言葉、その祈りの心をも確かに知って下さるお方です。たとえヨブのように絶望の淵に立たされた時にも、神は私たちの救われたいという心からの願いを聞き取って下さるお方です。
今日も皆様のためにお祈りをさせていただきます。
天の父なる神様。たとえヨブのように正しい人であっても、私たちは試練に遭う日には祈りの言葉さえ出て来ないことがあります。しかし、神は私たちを金を求めるように探し出されます。どうか私たちの心の底にある切なる祈りに応えて下さい。来る日に私たちが神の中に救いを見出だすことができますように。
イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。
(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)