2020/12/03

長谷川家の信仰の証

(写真:長谷川町子記念館前の町子像)

 「サザエさん」の作者、長谷川町子は、鹿児島出身の両親の元、1920(大正9)年1月30日、佐賀県の東多久村(現・多久市)に生まれました。
 一家で福岡県福岡市に引っ越した後、父が結核で病に伏せるようになりました。そのことがきっかけとなり、母が聖公会の教会の門をたたき、両親と娘3人、一家5人で洗礼を受けました。父は死の直前に信仰の新境地に立つことができました。

父は、母や私たちを呼んで喜びに顔を輝かせながら「神様が何もかも最善にしてくださる、何も心配することはない。お父さんも、もうこれですっかり安心した」と繰り返し言って聞かせました。(『長谷川町子思い出記念館』p56)

 1933(昭和8)年、父の召天後、一家は母の実兄である岩切重雄(国会議員、鹿児島市長を歴任)を頼って上京しました。母は既に漫画を物にしていた町子を促し、「のらくろ」作者の田河水泡に弟子入りさせました。しかし、実家に戻りたがった町子は「教会に通うため日曜日に帰宅したい」と願いました。ところが、田河家の隣が教会(日本基督教団荻窪教会)であり、田河夫妻と毎週通うことになりました。後に田河夫妻は洗礼を受けました(妻の高見澤潤子は荻窪教会長老、『信徒の友』編集長委員長等を歴任)。
 戦争が激しくなり、一家は疎開のため再び福岡に引っ越し、町子は福岡の地方新聞に『サザエさん』の連載を始めました。サザエさんの登場人物名は、自宅近く(福岡市西新、西南学院の近く)の海岸である百道浜で考案されました。
 戦後、一家は再び上京し、世田谷に居を構えました。『サザエさん』の成功で多忙になった後、町子は母と妹と一緒に矢内原忠雄が指導する無教会集会(今井館聖書講堂、目黒区中根)に出席するようになりました。
 生前の長谷川町子は人前に出ることは多くありませんでしたが、少ない機会において自らの信仰を表現しました。芸術家としての個性的な信仰の証に、私たち自身の信仰の証のあり方のヒントを得られるのではないでしょうか。

うちの家庭は信仰がないと生きていかれないんですもの。神様を認めないで生きていけない。物質生活が最上のものでなくて、精神生活が人生を向上させるものだ。いつもそう教え込まれて育ってきましたから。(『長谷川町子思い出記念館』p147)

引用資料:長谷川町子著『長谷川町子思い出記念館』朝日新聞出版

2020/12/01

2020年12月6日の聖書日課

  

(写真:センリョウ)

イザヤ59:12-20
 59:12 われわれのとがは、あなたの前に多く、
罪は、われわれを訴えて、あかしをなし、
とがは、われわれと共にあり、
不義は、われわれがこれを知る。
 59:13 われわれは、そむいて主をいなみ、
退いて、われわれの神に従わず、
しえたげと、そむきとを語り、
偽りの言葉を心にはらんで、それを言いあらわす。
 59:14 公平はうしろに退けられ、
正義ははるかに立つ。
それは、真実は広場に倒れ、
正直は、はいることができないからである。
 59:15 真実は欠けてなく、
悪を離れる者はかすめ奪われる。
主はこれを見て、
公平がなかったことを喜ばれなかった。
 59:16 主は人のないのを見られ、
仲に立つ者のないのをあやしまれた。
それゆえ、ご自分のかいなをもって、勝利を得、
その義をもって、おのれをささえられた。
 59:17 主は義を胸当としてまとい、
救のかぶとをその頭にいただき、
報復の衣をまとって着物とし、
熱心を外套として身を包まれた。
 59:18 主は彼らの行いにしたがって報いをなし、
あだにむかって怒り、
敵にむかって報いをなし、
海沿いの国々にむかって報いをされる。
 59:19 こうして、人々は西の方から主の名を恐れ、
日の出る方からその栄光を恐れる。
主は、せき止めた川を、
そのいぶきで押し流すように、こられるからである。
 59:20 主は言われる、
「主は、あがなう者としてシオンにきたり、
ヤコブのうちの、とがを離れる者に至る」と。

(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)

2020/11/29

2020年11月29日3分メッセージ



 マタイ24章44節をお読みします。
だから、あなたがたも用意をしていなさい。思いがけない時に人の子が来るからである。

 2020年は本日、11月29日よりキリストの降誕を待ち望むアドベントが始まりました。毎年祝われるクリスマスですが、今年は思いがけない特別なクリスマスとなっています。
 イエス・キリストはマタイ24章において、弟子たちに世の終りについて語っています。世の終りがいつ来るのかは誰もわからないが、その前兆を見ることができる、ということを語りました。人々はキリスト(人の子)がこの世に再び現れることについていろいろと噂をするが、キリストは人々の「思いがけない時に」(マタイ24章44節)やって来る、ということです。
 約2千年前にキリストが最初に人となって来られた時、その誕生は人々に知られることもなく、人影でひっそりとお生まれになりました。しかし、神によって導かれたごくわずかな人々がキリストの誕生を知り、キリストを拝みました(ルカ2章、マタイ2章)。これがキリストの誕生を祝った最初のクリスマスでした。
 イエス・キリストはこの世界を、私たち人類を新しく作り変えるために来られます。私たちの日常も思いがけない変化にとまどうことも多くあるかもしれません。しかし、世界が変わっても、決して変わることのない真理はあります。その真理をキリストは言葉によって言い表されました(マタイ24章35節)。私たちもキリストの御言葉を耳に聞き、本当に大事な真理を守ってくださるキリストの御業を待ち望みつつ、今年のクリスマスを迎えてまいりましょう。

 ご一緒にお祈りいたしましょう。
 天の父なる神様。私たちは日常生活の思いがけない変化にとまどっています。しかし、イエス・キリストは私たちの本当に大事なものを守ってくださるお方です。今この時もキリストの救いの御業が行われてまいりますように。また私たちの心も良き変化に備えをすることができますように。
 イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)

2020年11月29日(日) アドベント開始

 今年は11月29日からクリスマスの準備期間であるアドベントが始まりました。志村キリスト教会では、感染症対策を継続しつつ、毎週日曜日の礼拝の中でクリスマスをお祝いしていきます。いろいろと特別対応なクリスマスですが、決して失われてはいけない、一番大切なものを見届けるクリスマスでありたいと願っています。

2020/11/23

2020年11月29日の聖書日課

  

(写真:キミガヨラン)

マタイ24:36-44
 24:36 その日、その時は、だれも知らない。天の御使たちも、また子も知らない、ただ父だけが知っておられる。
 24:37 人の子の現れるのも、ちょうどノアの時のようであろう。
 24:38 すなわち、洪水の出る前、ノアが箱舟にはいる日まで、人々は食い、飲み、めとり、とつぎなどしていた。
 24:39 そして洪水が襲ってきて、いっさいのものをさらって行くまで、彼らは気がつかなかった。人の子の現れるのも、そのようであろう。
 24:40 そのとき、ふたりの者が畑にいると、ひとりは取り去られ、ひとりは取り残されるであろう。
 24:41 ふたりの女がうすをひいていると、ひとりは取り去られ、ひとりは残されるであろう。
 24:42 だから、目をさましていなさい。いつの日にあなたがたの主がこられるのか、あなたがたには、わからないからである。
 24:43 このことをわきまえているがよい。家の主人は、盗賊がいつごろ来るかわかっているなら、目をさましていて、自分の家に押し入ることを許さないであろう。
 24:44 だから、あなたがたも用意をしていなさい。思いがけない時に人の子が来るからである。

(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)

2020/11/22

2020年11月22日3分メッセージ



 ミカ2章12節をお読みします。
ヤコブよ、わたしは必ずあなたをことごとく集め、イスラエルの残れる者を集める。わたしはこれをおりの羊のように、牧場の中の群れのように共におく。

 預言者ミカはこのように言って、神からのメッセージをヤコブ、すなわちイスラエルの人々に伝えました。その内容は、羊のように散らばった人々を狼のような危険から守るために、神は羊飼いのようにイスラエルを集めて守られる、ということです。
 しかし、イスラエルの人々は預言者の言葉に耳を貸さず、「説教するな」と言いました(ミカ2章6節)。紀元前8世紀頃のミカの時代、イスラエルの国は外敵に悩まされながらも一時の平和を味わっていました。そのため、人々は預言者の言葉をたわごとであると思ったのです。
 しかしながら、イスラエルの歴史を顧みると、ミカの時代には二つに分かれた北の王国が既に滅亡しており(紀元前721年)、南の王国も後の時代に滅亡してしまいます(紀元前586年)。そのことは、ミカの預言が知らせた「災」の通りです(ミカ2章3節)。結局、ミカの時代の人々は目先のことだけしか考えていなかったのです。
 聖書の神は、私たちが今見ていることより遥かに広く、遠い視野を持ってメッセージを語られます。私たちは聖書の言葉に謙虚になって耳を傾けましょう。そうすれば、私たちは人の知恵を超えた、神の知恵に学ぶことができます。神は良い羊飼いとして私たちを守り、養ってくださいます(詩篇23篇1節)。

 ご一緒にお祈りいたしましょう。
 天の父なる神様。あなたの思いは私たちの思いより遥かに高く、私たちのすべてを見通しておられます。私たちは聖書の言葉に目を留め、神のメッセージに耳を傾けます。どうぞ私たちに知恵を与え、迷いのない人生を歩ませてください。
 イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)

2020/11/16

2020年11月22日の聖書日課

(写真:カキノキ)

ミカ2:12-13
 2:12 ヤコブよ、わたしは必ずあなたをことごとく集め、
イスラエルの残れる者を集める。
わたしはこれをおりの羊のように、
牧場の中の群れのように共におく。
これは人の多きによって騒がしくなる。
 2:13 打ち破る者は彼らに先だって登りゆき、
彼らは門を打ち破り、これをとおって外に出て行く。
彼らの王はその前に進み、
主はその先頭に立たれる。

(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)