出エジプト19章20節をお読みします。
主はシナイ山の頂に下られた。そして主がモーセを山の頂に召されたので、モーセは登った。
モーセに導かれてエジプトを出たイスラエルの民は、シナイ山のふもとで神から十戒を始めとする律法を受け取りました(出エジプト20章)。この律法によってイスラエルは民族集団から法治国家へと変貌しました。
このイスラエルにとって重要な節目の時に、人々は律法に従うという誓いを立て(出エジプト19章8節)、神との対面に備えて身を清めました(出エジプト19章10~15節)。山のふもとに立った人々は、山の頂の恐るべき光景、地震と大音響に震え上がり、直接会うことのできない神の尊厳に触れました(出エジプト19章10~18節)。
その中でただ一人、モーセが民の前に立って神と語り合い、神に呼び出されてモーセは山に登っていきました(出エジプト19章19~25節)。この出来事の後、イスラエルの民はモーセを神の代言者、神と人々の間を取り持つ仲介者として、モーセを尊敬するようになりました(出エジプト34章29~35節)。
神の民が律法を受け取る出来事は、時代を超えて人が神とどのように関わりを持つべきかを教えています(ガラテヤ3章19~20節)。今の時代、神と人との間に立つ仲介者(仲保者)はイエス・キリストです(テモテ第一2章5節)。全能の神に向けて祈りをささげることは、本質的には恐れ多いことで、何の準備も持たずにできることではありません。私たちは「イエス・キリストの御名によって」始めて祈りをささげることができるのです。
ですから、今私たちは聖書の言葉に励まされて気兼ねなく祈りたいと思います。「わたしたちは、あわれみを受け、また、恵みにあずかって時機を得た助けを受けるために、はばかることなく恵みの御座に近づこうではないか。」(ヘブル4章16節)
ご一緒にお祈りいたしましょう。
天の父なる神様。私たちはキリストの御名によって祈ることができることを感謝します。全能の神の御前に恐れつつ、しかし私たちの切なる祈りを親しく聞き届けて下さる恵みが与えられています。益々勇気をもって祈り続けることができますように。
イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。
(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)