使徒2章42節をお読みします。
そして一同はひたすら、使徒たちの教を守り、信徒の交わりをなし、共にパンをさき、祈をしていた。
キリスト教会は、ペンテコステ(五旬節)の日にキリストの弟子たちに聖霊が注がれたことで誕生しました(使徒2章1~4節)。彼らは礼拝のために集まる教会堂を持っていませんでした。キリスト教会が誕生した後も、彼らはユダヤ人として生活し、エルサレムの神殿に詣でて礼拝し、各地のユダヤ人の会堂に集まり、あるいは自宅を開放してクリスチャンの交わりを保ちました(使徒2章46~47節)。
後に迫害を受けて多くの者がエルサレムから追放されても、彼らは行く先々で集まって礼拝を捧げ続けました(使徒8章1~4節)。これが今日のキリスト教会の生い立ちとなった出来事です。ヨーロッパにある大聖堂も、日本のような非キリスト教国の小さな家の教会も、教会としての本質は変わることがありません。同じクリスチャンが集まる教会です。
時代や国が変わっても、変わらない教会の本質があります。それが、「使徒たちの教を守り、信徒の交わりをなし、共にパンをさき、祈を」することです。それはつまり、「聖書に学び、教会の交わりを保ち、聖餐式等の礼典を守り、祈りを捧げる」ことであり、そのことが守られているのが使徒たちの時代から変わることなく存在し続けている本当の教会です。
皆様もぜひ、このキリスト教会の本質、教会の命に触れていただきたいと願います。キリスト教の教会堂、聖画や彫刻、賛美歌などの芸術を味わいつつ、それらが意味しているキリスト教の交わりに触れてください。それが教会におけるクリスチャンたちの交わりであり、毎週の礼拝で行われていることです。イエス・キリストはこのように言われています。「神の国は、実にあなたがたのただ中にあるのだ」(ルカ17章21節)。
ご一緒にお祈りいたしましょう。
天の父なる神様。キリスト教会は時代を超えて、クリスチャンたちが集まり、交わりを保ち続けています。この教会の交わりの中に神の国がある、とキリストは言われました。神の国、神の恵みに私たちも与りたいと願います。どうぞ教会の交わりを祝福してください。自らを省みつつ、神ご自身との交わりをも保たせてください。
イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。
(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)