2023/06/18

2023年6月18日3分メッセージ



 申命記8章16節をお読みします。
先祖たちも知らなかったマナを荒野であなたに食べさせられた。それはあなたを苦しめ、あなたを試みて、ついにはあなたをさいわいにするためであった。

 申命記は、神がイスラエル人に与えると約束された地を目前としながら、モーセがイスラエル人たちに告げた言葉です(申命記1章1節)。モーセがイスラエル人を率いてエジプトから出発して、四十年が過ぎました(申命記8章2節)。その間にイスラエル人の世代は新しくなり、エジプトを出発した当初の出来事を知らない人々がほとんどとなりました。そこで、約束の地に入る人々のため、モーセはこれまでの神の教えを再び告げ知らせのでした(申命記31章13節)。
 今まで受けた神の教えを伝えるとともに、モーセは約束の地に入った後の将来の出来事についても教えました。それは、今まで荒野で苦しい旅を続けてきたが、約束の地に住み着いた後に、今まで経験したこともないような安定した生活を味わい、そして過去の苦しみと共に神の教えをも忘れてしまう危険があることです(申命記8章11~14節)。
 「喉元過ぎれば熱さを忘れる」のが人間の性です。しかし、苦しかった記憶と共に大事な教えを忘れるなと、モーセは私たちにも語り掛けています。そして、苦難の出来事を忘れるな、それは私たちがさいわいに至るための試練であった、と言っているのです。聖書の神は、私たちを神の子として訓練するために、人生の試練に会うことを良しとされます(申命記8章5節)。
 聖書は私たちにこのように教え諭しています。「神の造られたものは、みな良いものであって、感謝して受けるなら、何ひとつ捨てるべきものはない。」(テモテ第一4章4節)私たちの人生の旅路を支え、導いて下さる神に従ってまいりましょう。

 ご一緒にお祈りいたしましょう。
 天の父なる神様。私たちは、過去の嫌な出来事を忘れ、将来の不安から目を背ける癖があります。しかし、過去の出来事を思い出しつつ、将来に向かって注意深く前進せよと、聖書は私たちに教えています。その教えに励まされ、私たちは前進したいと思います。どうぞ私たちの人生の旅路を導き、天からの祝福に与らせてください。
 イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。

(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)