ルカ19章28節をお読みします。
イエスはこれらのことを言ったのち、先頭に立ち、エルサレムへ上って行かれた。
ルカによる福音書において、イエス・キリストがエルサレムに向かったのは、並々ならぬ決意をもっての事であったことがわかります(ルカ9章51節)。エルサレムは神の民イスラエル人の都であり、キリストが神の言葉を取り次ぐ預言者として向かわなければならない場所でした(ルカ13章33節)。
旅を続けるキリストの周りにいたのは、キリストに従って行く弟子たちだけではありませんでした。ある時にはキリストを中傷する目的で、わざわざエルサレムからやって来た敵対者もありました(ルカ5章17節)。しかし、エルサレムに向かうキリストの旅路を妨害できる者は、誰一人いませんでした。
そして、ついにキリスト一行はエルサレムに到着しました。それに先立って、キリストは二人の弟子をつかわし、途中にある村からロバの子を引いて来るように命じました。このことは、ロバの持ち主と予め約束していたことかどうかは、わかりません。しかし、「主がお入り用なのです」との言葉を受けて、持ち主はロハを渡してくれました(ルカ19章29~34節)。
キリストはこのようにして神の預言者の務めを果たし終え、預言者としてエルサレムの地で十字架にかけられ、死なれました。十字架に至るすべての出来事は、このエルサレムから始まった罪のゆるしの福音の始まりでした(ルカ24章47節)。イエス・キリストはこのように言って私たちを招いています。「わたしがきたのは、義人を招くためではなく、罪人を招いて悔い改めさせるためである」(ルカ5章32節)
ご一緒にお祈りいたしましょう。
天の父なる神様。私たちはイエス・キリストの復活のイースターを来週に控え、キリストの十字架の道を思い見ます。キリストがエルサレムで死なれた理由は、私たちに罪のゆるしを得させるためでした。キリストは今日、私たちに向かって招いておられます。どうぞ私たちの罪をゆるし、新しい人間へと造り変えてください。
イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。
(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)