2022/11/20

モーセの十戒 第八戒



 モーセの十戒の第八の戒め、出エジプト20章15節をお読みします。
あなたは盗んではならない。

 十戒は、他人の物を無断で盗むことを、二つの戒めにより禁じています。すなわち、第八の戒めは盗む行為を禁じ、第十の戒めは盗もうとする動機を禁じています。
 聖書の神は、人が物を所有する権利を認めていて、他人の所有する権利を侵してはならないことを命じています(出エジプト6章8節)。もし盗みを働いて他人の権利を侵すことがあれば、その盗みの罪による損害を賠償すべきことを命じています(出エジプト22章1節)。
 また、物や金銭に執着して、欲にかられて盗みを働くことのないように、自分の持っている物で満足すべきことを教えています(ルカ3章14節)。さらに、不足を補うために自らの手で働くことが大切であること(エペソ4章28節)、自分の事だけでなく、助けを必要としている貧しい人々を顧みて、できる限りの中で他者を助け、養うべきことを勧めています(ヤコブ1章27節)。
 人の持つ権利は決して生まれながらに持っているものではありません。権利はそれを保障する大きな力があって守られるものです。聖書の神は人が物を所有し、生きる権利を守られます。同じように、すべての人が不足せずに生活できることが、神の御心です(申命記15章11節)。この神の御心に従って、自ら進んで与える者に、神は豊かに報いてくださいます(ルカ6章38節)。

 ご一緒にお祈りいたしましょう。
 天の父なる神様。私たちが日々享受している、生きるための様々な権利は、神の大きな力によって守られていることを感謝いたします。今日も神の守りの中で生きることができ、また他の人々の権利も尊重して生きることができますように。「受けるよりは与える方が、さいわいである」(使徒20章35節)と言われるキリストの教えに従わせてください。
 イエス・キリストのお名前によってお祈りします。アーメン。

(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)