ヤコブ1章17節をお読みします。
あらゆる良い贈り物、あらゆる完全な賜物は、上から、光の父から下って来る。父には、変化とか回転の影とかいうものはない。
ヤコブの手紙1章は、試錬と誘惑について語っています。これら二つのものは私たちを苦しめるものですが、その結果は全く違うものです。私たちは試錬と誘惑を、はっきり見分けなければなりません。
試錬は人の忍耐を試すものであり、試錬を耐え忍ぶことができれば人として成長することができます(ヤコブ1章12節)。聖書は、試錬に耐えた者には神がいのちの冠を与えられるのだから、試錬を喜びなさいと励ましています(ヤコブ1章2節)。
それとは違い、誘惑は耐え忍ぶものではなく、避けるべきものです(第一テサロニケ5章22節)。誘惑とは私たちを悪に引きずり込もうとするものであり、私たちの欲望を焚きつけるものです(ヤコブ1章14節)。私たちが誘惑に陥ってしまえば、その結果としての罪と罰を受けるのは私たち自身です(ヤコブ1章15節)。
聖書の神は、成長するきっかけとして私たちが試錬に会うことを許されます(ヘブル12章7節)。しかし、私たちを悩ますために誘惑をされるお方ではありません(ヤコブ1章13節)。試錬も誘惑も、私たちの人生において全く出会わないことはありえません。しかし、神はどのような時にも、私たちが物事を正しく判断し、正しい対処をする知恵をお与えになります(第一コリント10章13節)。ですから、私たちはこのように祈りましょう。「試みに会わせず、悪より救い出だしたまえ。」(主の祈り、マタイ6章13節)
ご一緒にお祈りいたしましょう。
天の父なる神様。私たちの人生には様々な悩みごとがあります。それらの物事を正しく見分ける知恵を与えてください。試錬に耐え、誘惑を避ける力を与えてください。
イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。
(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)