使徒12章11節をお読みします。
その時ペテロはわれにかえって言った、「今はじめて、ほんとうのことがわかった。主が御使をつかわして、ヘロデの手から、またユダヤ人たちの待ちもうけていたあらゆる災から、わたしを救い出して下さったのだ」。
キリスト教の歴史は、宣教と迫害の歴史です。その歴史はイエス・キリストによる福音宣教に始まり、迫害の末、十字架の死によって終わったかのように見えました。しかし、キリストの教会による宣教活動は今日まで絶えることなく続いています。またキリスト教に対する迫害も今日、世界中で絶えず続いています。
キリストの直弟子であるペテロたちが生きる時代、彼らは至る所で巻き起こる迫害にひるむことなく、キリストの福音を宣べ伝えていました。すると、イスラエルの王ヘロデは十二弟子の一人であるヤコブを殺し(使徒12章2節)、続いてペテロを捕らえました。
その時、教会の人々はともに集まって祈り始めました(使徒12章5節)。彼らがなしうることは、ただ祈りだけだったのです。彼ら自身も迫害の中にあって、抵抗するすべは一切持っていませんでした。
しかし、聖書の神はクリスチャンの祈りに応えられました。人手によらず、ペテロは神の手によって牢獄から救い出されました。ペテロ自身も初めその出来事を夢か幻かのように思い(使徒12章9節)、祈りの中にいた教会の人々もペテロの救出をすぐに信じることができませんでした(使徒12章15節)。
聖書の神の救いは、私たち人間の想像を遥かに超えることをなしうる、力強いものです。「人にはできない事も、神にはできる」(ルカ18章27節)この信仰を私たちも持ちたいと思います。
ご一緒にお祈りいたしましょう。
天の父なる神様。私たちは自分の手に余るような困難な出来事に対して、祈ることしかできない者であることを認めます。どうぞ私たちの祈りを聞き届けてくださり、神にしかなしえぬ大いなる救いを成し遂げてください。
イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。
(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)