2019/06/09

神と親しく交わる神学 第三回 神の三つの位格


 聖書は明確に神の三つの神の位格、すなわち「父、子、聖霊」を示しています。そして、神の三つの位格がそれぞれ無秩序、無関係に働いているのではなく、互いに調和をもって世界に働きかけているのを知ることができます(ヘブル1:1-2)。
 位格(ペルソナ)という言葉は、元々はラテン語で「仮面」を意味する神学用語です。古代において仮面は演劇で用いられて、仮面を交換することで同じ役者が複数の役を演じました。教会は三位一体を、唯一の神が父、子、聖霊の三つの仮面を持っている状態と考えたのでした。
 近代において人間の内面(心)が注目されるようになり、個人がそれぞれ感じ、考えることを重視する「実存」が強調されるようになりました。それに対し、神は人間のように実存するのではなく、他の何物にも依存することなく絶対的に「存在」するものとしなければなりません。そのような意味で、神はご自身を「わたしはある」(出エジプト3:14)と名乗られました。
 教会は神の位格に関しても様々な誤解をしました。例えば、「神の三位一体とは、水が水蒸気や氷に変化するようなものだ」とする「様態論」のような誤解です。しかし、神は物質のように変化するものと考えてはなりません。教会はキリストについて「造られずに生まれ、父と同質」であると宣言しました(381年のニカイア・コンスタンティノポリス信条)。
 聖書において「神は唯一」(第一テモテ2:5)であること、なおかつ父、子、聖霊が明確に区別されています(第二コリント13:13)。私たちは聖書の証言に信仰の基礎を置き、この聖書の証言に反対するすべての言説から自らを守るようにしましょう。

参考図書:スプロール「三位一体とは何か」いのちのことば社、2018年