聖書:ルカ17:20-30
「神の国は、見られるかたちで来るものではない。また『見よ、ここにある』『あそこにある』などとも言えない。神の国は、実にあなたがたのただ中にあるのだ」。(ルカ17章20-21節)
イエス・キリストは「神の国」について繰り返し教えています。神の国は、悪を追い出す神の力を伴うものだ、とも教えられました(ルカ11章19節)。
そのキリストの教えに対して挑むように、パリサイ人が「神の国はいつ来るのか」と尋ねました(ルカ17章20節)。この質問は何もおかしくはないように思えるかもしれません。しかし、キリストはその質問の根本が間違っていることを指摘します。すなわち、神の国とはこの地上の国とは異なっており(ヨハネ18章36節)、人間ではなく神が支配する国であり、人間が旅をして訪れたり、軍隊を派遣して支配できるようなものではない、と教えられました。
しかし、キリストは「神の国は、実にあなたがたのただ中にあるのだ」と言われました。この言葉は、神の国が人の心の中だけに存在するということではなく、人々の間に、人間生活の身近なところに神の国が来ている、ということを意味します。それゆえ、キリストは度々「神の国はあなたがたに近づいた」(ルカ10章9節)と語られました。
キリストは、とある律法学者が適切な答をしたのに驚き、「あなたは神の国から遠くない」と語られました(マルコ12章28~34節)。その言葉を聞いて満足するべきではありません。キリストは、神の国の近くにではなく、神の国の内に入るように私たちを招いているからです。「あなたがた貧しい人たちは、さいわいだ。神の国はあなたがたのものである。」とキリストは語られました(ルカ6章20節)。
キリストは神の国の祝福に与らせたいと、私たちを招いてこのように語られています。「だれでもわたしの声を聞いて戸をあけるなら、わたしはその中にはいって彼と食を共にし、彼もまたわたしと食を共にするであろう。」(黙示録3章20節)
ご一緒にお祈りいたしましょう。
天の父なる神様。私たちはキリストの多くの御言葉から、神の国に入ることの幸いを教えられています。私たちも神の国の祝福に与ることができますように。神の国の近くではなく、神の国の内におらせてください。
イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。
(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)