2024/07/18

聖書の教理~(15)キリストの職務

 「キリスト」という言葉は「神から油注がれた者」を意味します(使徒4:27)。油注ぎは、特に旧約聖書時代において預言者(列王紀上19:16)、祭司(出エジプト28:41)、王(サムエル上10:1)の任命式において行われました。イエス・キリストはこれらの三つの職務を担われています。

 a)預言者としてのキリスト:キリストは当時の人々から預言者とみなされていました(マタイ21:11)。キリストは預言者として救いの福音を告げ(ルカ4:18-19)、天国(神の国)を告げ(マタイ4:17)、将来の出来事を告げました(ヨハネ14:29)。

 b)祭司としてのキリスト:キリストは地上の祭司ではありませんでしたが、天上の祭司として今も働いておられます。祭司は民の罪のあがないのための奉仕を担います。キリストは全人類の罪のあがないのために人と同じになられました(ヘブル2:17)。また、罪のあがないしろとして自ら犠牲となり(ヘブル9:12)、今も天において人々のためとりなしをしておられます(ヘブル7:25)。

 c)王としてのキリスト:キリストは神により永遠の祭司また王として任命されました(詩篇110:4)。キリストは永遠の王権を約束されたダビデの子孫であり(エゼキエル37:25)、きたる再臨の時、キリストは王として地上に来られて王座につかれます(マタイ25:31)。

 キリストの言葉と御業の力強さが示す権威は、神から「油注がれた者」としての権威です。「イエスは彼らに近づいてきて言われた、『わたしは、天においても地においても、いっさいの権威を授けられた。』」(マタイ28:18)

参考資料:
日本聖書協会「聖書 口語訳」1955年版
マイヤー・パールマン「聖書の教理(上)」福音出版社(1981年)