2021/09/12

聖書の植物~イチジク

 

「見よ、主の宮の前に置かれているいちじくを盛った
二つのかごがあった。」(エレミヤ24章1節)

 イチジクは古代より栽培されてきた果樹です。夏に外側から見えない不思議な花を咲かせますが、秋にかけて実が熟し、あたりに芳しい香りを放ちます。日本には主に江戸時代以降、原産地の西アジアから中国を経由してやってきました。聖地イスラエルでも家々の軒先に植えられ、満ち足りた生活の象徴として愛されました(列王紀上4章25節)。

 預言者エレミヤの時代、イスラエルの人々はバビロン捕囚の憂き目に遭いました(エレミヤ24章1節)。捕囚から逃れた人々は自らの境遇を幸いとし、捕囚に遭った人々の境遇を災難とみなしました。しかし、人々の判断とは異なり、聖書の神は捕囚に遭ったエコニヤ(エホヤキン)たちを保護し、彼らをイスラエルの末裔として永らえさせました(エレミヤ52章31~34節)。

 挿し木で簡単に増やせるイチジクのように、神は神の民を顧みて、命の祝福を与えられます(エレミヤ24章4~7節)。

(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)