出エジプト2章10節をお読みします。
その子が成長したので、彼女はこれをパロの娘のところに連れて行った。そして彼はその子となった。彼女はその名をモーセと名づけて言った、「水の中からわたしが引き出したからです」。神から十戒を授けられたモーセは、エジプトで奴隷とされていたヘブルびと、すなわちイスラエル人の子として生まれました。
当時、エジプトの王であるパロはイスラエル人を弱体化させるため、新しく生まれた男の赤ちゃんを殺すよう命じていました。両親はモーセを殺すことをためらい、生きたままカゴに入れてエジプトの大河ナイルに置き去りにしました。モーセの姉は一部始終を知るため、遠くからモーセの様子をうかがっていました。
そこに、パロの娘がやってきて、カゴを拾って中にいたモーセを発見しました。彼女はこの子が捨てられたイスラエル人の子であることを察し、あわれに思いました。それを見たモーセの姉は機転をきかせて、モーセの母親を乳母として紹介し、モーセはエジプトの王族の子として育つことになりました。
モーセという名は「引き出す」という意味があります。その名の通り、モーセは周りの人々の心からあわれみを引き出して生き延びることができ、成長した後、彼はイスラエル人をエジプトの苦しみの中から引き出す、イスラエルの救い主となりました。
聖書の神は人間を用いて救いの業を成し遂げられます。詩篇でもこのように歌われています。「あなたはわたしを多くの重い悩みにあわされましたが、再びわたしを生かし、地の深い所から引きあげられるでしょう。」(詩篇71篇20節)
お祈りいたしましょう。
天の父なる神さま。あなたはか弱き私たち人間のすべてを知っておられ、その心の思うところを察してくださるお方です。私たちは心を込めて切に祈ります。折にかなった助けを私たちに与えてください。
イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン。
(日本聖書協会『聖書 口語訳』1955年版)